なれたらよからうと存じます。
その夜、いろいろ用意がいたしてございまして、農場のひとびと二十人ほど集まりご披露の宴会がございました。私はまだ疲れてをりまして、夢のなかにゐるやうでございましたが、おまきさまが、なにやかとお世話下され、おつくりまでしていたゞき、黒の江戸褄で、もう一度婚礼をやりなほしたやうでございました。おまきさまは髪まで上手に島田にあげてくだされ、お祖母さまからおゆづりのあのべつこうの笄と櫛は、みごとなものだとおほめになりました。おまきさまは、私より二つも年上でいらつしやるので、義妹ともうしますよりはお姉さまのやうでございます。
この離れは、八畳が南に三間づゝとならび裏に六畳と四畳の納戸のやうな部屋がございまして、味もそつけもない開墾地風な建てかたでございます。そのうへ、広い土間を中にして同じ棟つゞきが大きな納屋になつてをります。その他、住宅よりもかへつて立派なくらいの馬屋がございまして、こゝにはよい種類の馬が四頭と、緬羊ともうす羊のやうな獣が二頭をります。この毛を刈つて毛糸でも毛織物でもできるのださうでございますが、まだ試みに飼つてみたのださうで、家のひとびとにもよ
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