んの子ども。九九の知らない子どもの多いこと。シラミの多い女児の頭。語ってきかせても、叱ってみても、反応のない野性の子どもたち……。自然観察はどうするのか。四年は理科、三年は自然観察という複式の悩み。また自然観察の系統はどうあるのか。参考書は、教案は?
このような悩みと苦しみをポツリポツリとわたくしにきくK子と対座しながら、学校という組織体のなかから、ポツリと一人びとりにきりはなされておかれているK子というわかい教師がかなしくなり、個人意識にうごかされて、民主的な教育からは遠い学校を思った。わたくしはきいた。
――教室で子どもと一緒にいるとき、職員室で先生方と一緒にいるとき、たのしいかい?
するとK子はにっこりしながら、子どもたちと一緒にいることはたのしいこともあるが、辛いことが多い。職員室はたのしくないと語った。そのような子どもたちのしつけの苦しみや、教育のことについての悩みを、先生方に相談したり、学校全体で話しあったり、研究したりすることはないかとたずねると、K子はさびしく学校のなかの先生方の孤立していて協力的でないことなどを語ったのだった。そこでわたくしはまたたずねた。
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