翌年は短期現役を終えてから文集一冊と詩集一冊をつくり、それ以来精力的にコツコツと原紙を切り、ルーラーを回転し、文集“もんぺ”“もんぺの弟”を出した。積み重ねると机の高さにもおよぶであろうこの文詩集をみるたび、私はいったい何をしていたろうかとムチ打たれながら驚いていたのだ。
国分はその後さまざまな教育ジャーナリズムのうえに良心的な論文を発表しているが、この仕事は、すべて子どもに打ちこんだ実践を土台とするものであり、そこに国分一太郎の本質的な仕事の光がある。単行本に収められている綴方、読み方の論述だけでも優に部厚い本に纒まるほどだが、教国、実国、綴方生活、工程、国研をはじめ、全国の地方誌に掲載した綴方教育の論説だけでも三十篇をこえている。ことに最近ものし始めた彼の随筆、童話、創作、童詩などには、彼独特の子ども観察を描き得て私のもっとも愛する彼の仕事だと思っている。私は今これらの仕事について語るだけの紙面は持っていない。
今回、扶桑閣から出版した“教室ノート”は彼の教室記録である。あんな大部な文詩集をつくりながら、よくもこんなに丹念に毎日の記録をとったものだと思わせるほど、国分君はすばら
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