な文化問題であるのだ。この意味で今回国分君に寄せられた全国的な友情に感謝する。
ことに扶桑閣の戸塚君には、本書の計画を犠牲的に快くひきうけてくださった。私は十年来の親友である国分君の処女出版が、このような事情の下に世に送られることに、限りない複雑な感情をおぼえる。
原稿の整理に当たったぼくに、幾度か「遺著になる気がして」と床からささやいて、ぼくたちの顔を暗くしてくれてあった国分君も、近頃は「もう死なない自信がついた」と元気に笑ってくれた。私は朗らかな気持で、このペンを走らせることのできる喜びを、この本の読者とともに喜びたいと思う。
どうか、ひとりでも多くの人びとにこの本が読まれてくれることと、国分君の全快の日を心から祈りながらペンをおく。
底本:「村山俊太郎著作集 第三巻」百合出版
1968年(昭和43)4月5日第1版第1刷発行
入力:しだひろし
校正:土屋隆
2010年2月16日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティア
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