ずぐるま》、……八番は、駿河町《するがちょう》の春日龍神《かすがりゅうじん》、……十七番は、小網町《こあみちょう》の漁船の山車、……四十番が霊岸島《れいがんじま》の八乙女《やおとめ》人形‥…
「熊坂」がくる、「大鋸《おおのこぎり》」がくる、「静御前《しずかごぜん》」がくる。
牛にひかせた見上げるような金ピカの屋台車の下を贅沢な縮緬《ちりめん》の幕で囲って、町内の師匠やお囃子《はやし》連が夢中になってチャッチャッチキチと馬鹿|囃《ばや》し。
声自慢の鳶《とび》が山車に引きそい、顔のうえに扇子《せんす》をかざして木遣節《きやりぶし》。
※[#歌記号、1−3−28]やあー、小金花咲く盃で、さいつおさえつお目出たや、大盃の台のみぎわに松植えて、千代さい鶴ひなの鶴の……
芸者の揃いの手古舞《てこまい》姿。佃島《つくだじま》の漁夫《りょうし》が雲龍《うんりゅう》の半纏《はんてん》に黒股引《くろももひき》、古式の侠《いなせ》な姿で金棒《かなぼう》突《つ》き佃節を唄いながら練ってくる。挟箱《はさみばこ》を担《かつ》いだ鬢発奴《びんはつやっこ》の梵天帯《ぼんてんおび》。花笠《はながさ》に麻上下《
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