とけばいいじゃないか。なにも俺に念をおすことはなかろう。……(大きな声で)執拗すぎるよ、君は」
「ま、そう腹をたてずにおしえてくださいよ。(脅かすような眼つきをして)さもないと……」
キッとして、
「さもないと、なんだ」
「へ、へ、あたしは手も足も出ないんです。……それはそうとねえ、西貝さん。久我が刑事だという噂もあるんだが、あんた知ってますか」
「警視庁の高等課で会ったことがあるって、だれか言ってたが……」
「やっぱり知ってたのか。……ひとが悪いねえ、あんたも。……しかし、それは本当ですか」
「大阪府警察部の思想係だというんだが、本当かどうか俺は知らん」
乾はわざとらしく首をひねりながら、
「……すると、台湾へは絲満の身元調査に行ったのかな。……それとも犯人でも追いこんで……」
「ばかな。思想係だといってるじゃないか。……そうだとすれば、ちょっと思いあたることがある。……あいつ、あの朝〈那覇〉で、なにげなく四日前に東京へきたと口をすべらしたろう。……大阪で銀行襲撃があったのは、絲満事件のちょうど五日前だ。……事件が起きるとすぐ足どりをたどって東京へやってきたんだよ。……こんども台
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