の肩も裾もぐっしょりと濡らして、まるで川へはまった犬っころのようなみじめな風態だった。
ぬれた内懐から気味わるそうに鍵をひきだして、鍵孔にさしこもうとすると、思いがけなく、すうっ、と扉が内側へあいた……
急に眼つきを鋭くして首をかしげる。しめ忘れたはずはない。……だれか内部にいるのだ。扉のすき間に耳をあてて息をころす。それから、二三歩身をひくと、きっと二階の窓を見あげた。
西洋美術骨董、と読ませるつもりなのだろう〈FOREIGN ARTOBJECTS〉と書いた看板のうしろで、窓の鎧扉がひっそりと雫をたらしていた。飾窓も硝子扉もない妙に閉めこんだ構えの、苔のはえたような建物だった。
扉をあけてそっと店のなかへはいり、身体をまげて板土間の奥のほうをすかして見る。
足のとれた写字机、石版画、セーブル焼の置時計、手風琴、金|鍍金《メッキ》の枝燭台、古甕……鎧扉の隙まからさしこむ光線のほそい縞の中で、埃をかぶった古物が雑然とその片鱗を浮きあがらせている。その奥のうす闇のなかで、ちらと人影らしいものが動いた。
入口の扉に鍵をかけると乾はずかずかと、そのほうへ進んでいった。
「誰だ、そこ
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