れでその人物は男だったという結論を得たのだ。この推理には間違いがない。嘘だと思ったら曲辰の溜堀の底を浚って見たまえ、必ずその服が出てくるから。……(そして、久我のほうをむくと)どうでしょう……?」
と、いった、久我は那須の眼を見かえしながら、
「適切ですね、敬服しました」
と、いった。那須は急に顔をひき緊めると、低い声で、
「久我さん、殺したのはあなたでしょう?」
座敷のなかは急にひっそりとしてしまった。古田が、ごくりと喉を鳴らした。
久我が、しずかに口をきった。
「それはお答え出来ません」
両手を膝に置き、自若たる面もちだった。那須はうなずいて、
「勿論ですとも。あなたにその意志がなかったら、答えてくださる必要はありません。……では、最後にひとこと……。僕の推理はだいたい成功しているのでしょうか」
「私の感じたままを申しますと、だいいちあなたのは推理ではなくて奇説《ドグマ》だと思うのです。……仮りに、あの夜私が女装して〈那覇〉にいたとしても、それだけでは私が殺したという証明にはならないからです。ここでは、女装[#「女装」に傍点]と殺人[#「殺人」に傍点]という二つの状態が、
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