》の大きな紫檀の食卓を挾んで、那須と古田が腕組をしている。すこし離れたところで、西貝は床の間を枕にしてまじまじと天井を眺めていた。妙に白らけたけしきだった。
しばらくの後、古田は腕組をとると、焦《じれ》っぽくバットに火をつけながら、
「……野郎、感づいてスカシを喰わしたんじゃねえのか。……やっぱり寝ごみを押えたほうがよかったんだ。(と、いうと、腹巻から大きな懐中時計をだして)もう、一時半だ。……ねえ、那須さん、こりゃ来ねえぜ」
那須は顔をあげると、落着いた口調で、
「いや、きっと来る。……だがね、古田君、言うだけのことは言ってもいいが、手だしをして貰っちゃ困るよ。僕が迷惑をするから。……いいか、念をおしとくぜ」
古田は煙のなかで、不承不承にうなずいて、
「ま、よござんす。……わかりましたよ」
と、いって横をむいた。西貝は煽てるような口調で、
「三つ四つ撲りつけるのは関《かま》わんさ。その位のことがなくちゃおさまらんだろう、なあ、古田氏……」
那須は眉をしかめて、
「よして貰おう。さっきも言ったように、今日はそういう趣旨じゃないんだから。……それに、(皮肉な眼つきで古田の顔を見
前へ
次へ
全187ページ中127ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
久生 十蘭 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング