ンパッス》へ追いつめてしまったようだ。〈那覇〉の前の空溝のなかから思いがけない手懸りが発見されたのである。浅草馬道の、松村という貸衣裳屋の保証金の受取証で、(金二十円他、薄鼠、クレープドシン、アフタヌン一着、保証金)と書いてあり、その裏に血痕と思われる拇指頭大の丸い褐色の汚点がついていた。クレープドシンか縮緬《ちりめん》をかぶせた釦《ボタン》を、血溜りのなかから拾いあげてこの紙に包んだのにちがいない。釦の丸さなりにはっきりと布目がうつっているのである。鑑識課へ持ちこんで験べて見ると、果してそれは絲満の血だということが判った。
 刑事がさっそく馬道へ飛んで行った。松村というのは女給やダンサー専門の貸衣裳屋で、その方面ではかなり有名な店だった。店員の話では、フリのお客で、年齢のころは十八九怒り肩のそばかすだらけなみっともない女で、四寸ぐらいのアフタヌンという註文で、それ位のを二三着出して見せたところ、碌に身体へもあてずに持って行った。なるほどそれ位は着そうな大柄な女でした。バンドつきのワンピースで、背中にとも布の釦が三つついております。衣裳はとうとうかえってまいりませんが、保証金を預ってあ
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