顎十郎捕物帳
蠑※[#「虫+原」]
久生十蘭
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)朝風呂《あさぶろ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)深川|万年町《まんねんちょう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)化粧※[#「木+垂」、第3水準1−85−77]《けしょうたるき》
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朝風呂《あさぶろ》
阿古十郎ことアコ長。もとは北町奉行所に属して江戸一の捕物の名人。ひょんなこと役所をしくじって、今はしがない駕籠舁渡世。
昨夜、おそい客を柳橋まで送りとどけたのは九ツ半。神田まではるばる帰る気がなくなって深川|万年町《まんねんちょう》の松平|陸奥守《むつのかみ》の中間部屋へころがりこみ、その翌朝。
朝からとの曇って、間もなくザッと来そうな空模様。怠け者のふたりのことだから、これをいい口実にして、きょうは休むことに話あいがつき、借りた手拭いを肩へひっかけて伊勢崎町の湯へ出かけて行く。
このへんは下町でも朝が早いから、まだ七ツというのに
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