なまあくび》をして、涎《よだれ》を流す有様はなかなか生《なま》や愚かの修業でなかったことがわかる。ポピノは軽くナポレオンの首筋を撫でながら、
「や、ご苦労、ご苦労。さだめし骨の折れたことであろう。骨休めはあとでゆっくりするとして、ここで一つ武芸の型を見せてもらわねえことには安心がならねえ。……ねえ、令嬢《マムズル》これから、中庭へ引き出して手並みのほどを見べえじゃごぜえませんか」
「そうね、じゃ、ナポレオン、しっかり手並を見せてちょうだい」
そこで中庭へひき出して、コン吉とポピノがかわるがわるモウ! モウ! と気合いをかけるとナポレオンは何思ったか後肢《あとあし》でそこへ坐り込み、犬がするような見事なチンチンをして得意満面の体である。タヌは見るより眉を顰《ひそ》めて、
「ま、お前はなんて情《なさ》けないまねをするの。チンチンなんかよして威勢のいいところをやらなくちゃ駄目じゃないの」と、声を励まして叱りつけると、ナポレオンはしばらくは情けなさそうな顔をしていたが、こんどは、おりから鳴り出した蓄音機のポルカに調《あわ》せて、ステテン、ステテンと踊り出した。
三人もろともに呆気《あっけ》
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