B赤酒五|瓦《グラム》。
午後 一・〇〇 コントラ・バスの演奏。
同 二・〇〇 食塩水五〇〇|瓦《グラム》。生の玉葱《たまねぎ》三個。
同 三・〇〇――四・〇〇 日光浴。
同 五・〇〇 熱気療法。(腹と背中へ焼鏝《やきごて》をおっつける療法)
同 六・〇〇 食塩水五〇〇|瓦《グラム》。生烏賊一匹。
同 六・三〇 遊戯。
同 七・〇〇 就寝。
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ざっとこんな工合にやるつもりなの。じゃ、いいわね。明日《あした》から始めてよ。
四、鰈《かれい》に附ける薬あれば、猫にも財布の必要あり。タヌの新案にかかる、「脳神経の栄養を主としたる即物的な家庭療法」が、どれほど偉大な効果を有するものであるか、その第一日目の夜半においてコン吉は三十九度の熱を出し、脈搏結帯、上厠頻数《じょうしひんすう》、さてそのあげく、毛細管支炎|喘息《ぜんそく》腐敗食による大腸|加太児《かたる》という、不思議な余病を併発したのによっても明白だというものである。これにはタヌも色を失い改めて医者よ! 薬よ! と、右往左往した末、どうやら一命は取りとめたが、余後はなはだ香《かん》
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