ェすえられてあって、反《そ》りかえった鍵盤の上に、曇り日の朝日が、ぼんやりした薄い陽だまりをつくっている。
 キャラコさんは、踏板《ペダル》を踏んで、そっと鍵盤を押してみた。
 オルガンは、ぶう、と気のめいるような陰気なうめき声をあげた。その音は、食堂で酔いつぶれている保羅さんの寝息といっしょになって、なんともいえぬ佗《わ》びしい階音《アルモニイ》をつくる。
 キャラコさんは、説明しがたい深い憂愁の情にとらえられた。心は重く沈み、強い孤独の感じが襲いかかった。レエヌさんが、『不幸なあたしたち兄妹』といった言葉の意味が、説明もなしにそのままじかに胸にふれてくる思いだった。
 キャラコさんは、やるせなくなって、逃げるようにオルガンのそばを離れて二階へあがって行き、足音を忍ばせながらレエヌさんの部屋へあがり込むと、そっと枕元に坐った。
 レエヌさんは、熱が出てきたのらしく、眉の間に竪皺《たてじわ》をよせ、苦しそうにあえぎながら、おぼろな声で囈言《うわごと》をいっていた。
「……お兄さん、……お兄さん、……また、陽が暮れかかってきたわ。……情けないわねえ。……ああ、なんて淋しいんだろう。……胸
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