にしても、あまり苦しまずに、すむように……」
 言葉が、とぎれた。
 暖炉の中で、コオロギが鳴いている。
「愛一郎は、絶望して死ぬつもりでいるのかもしれない……それでは困りますので、せめて、あきらめられるところまで、あしらってやっていただけたら……嫌いなものを好きになってくれなどと、バカなことを申しているのではありません。ほんのすこしばかり、やさしくしてやって、いただけたらと思って……」
 サト子は観念して、うなずいた。
「愛一郎さん、どこにいらっしゃるのかしら?」
 秋川は、庭のむこうを指さして、
「あれは、四阿《あずまや》にいるはずです。さっき、ひとりにしておいてくれなどと、言っていましたから」
 サト子は、椅子から立ちながら、
「失礼しても、いいかしら?……愛一郎さんに、お話ししたいことがあるんです」
 秋川は、湿っぽい声でこたえた。
「あなたさまは、おやさしくっていらっしゃる」
 客間のつづきから庭へおりて、ガラスの囲いのある四阿の近くまで行くと、愛一郎がぼんやりと籐椅子に掛けているのが、茂りあったポインセチアの葉の間から見えた。
 しゃれた鋳金の把手《とって》をまわして四阿の
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