、偽の本国ドルと引替えに、横須賀のパンスケたちに集めさせたものらしい。それがわかったもんだから、パンスケたちがおこって、仲介した女とウィルソンをめちゃめちゃにひっぱたいたという騒ぎ……サト子さん、あなたを養っていた大矢という飯島の漁師の娘は、砂袋で叩かれて聖路加に入院しているそうよ……警察部の中村というひとが言っていたけどカオルさんも、ドイツ人と組んで、ひどいことをやりかけていたそうだし、神月が自殺したのも、つまりは偽ドルの係りあいだったらしい。あなたも気をつけたほうがいいわ」
 さんざ、いやがらせを言ってから坂田に、
「私はもうコリゴリ……あの鉱山には、一切、関係しませんから、そう思っていただくわ」
 坂田がいかめしいくらいな口調でサト子に言った。
「私がなにより恐れたのは、十二億六千万円という、想像の値うちのことでした。あの鉱山に何百万円かかけて三百尺も掘ったら、十二億以上のものが出るかも知れないが、それは未来のことで、現実は零に近い……十三億というのは、相当、しっかりした頭でも狂いださせるに足る金だから、有頂天にしたあとで、じつは零だったというような話なら、聞かせないほうがマシだ
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