と思って、きょうまで、ひと言も言いませんでした」
「それは、さっき秋川さんから伺いました」
「私は鉱山の仕事に嫌気がさして、親父のやっていた、清浄野菜つくりに商売替えした人間です……あなたに渡して、一日も早く身軽になりたかったが、それでは、重荷をあなたの肩へ移すだけだと思って、今日まで辛抱していましたが、だいたい、むずかしいところは切抜けたようだから、これからは、あなたがやってください……一ドルで買ったものだから、三百六十円でお売りします」
 広い芝生の庭に、うらうらと春の日が照り、白いエプロンをかけたメードたちが、派手な日除の下へバースデイ・ケーキや飲物を運んでいる。
 どのみち、手にあうようなことではないのだ。ウラニウムのことなど、どうでもよくなり、サト子は、庭へ出て愛一郎や暁子と遊びたくなった。
「むずかしいところを切抜けたとおっしゃったようだけど、むずかしいってのは、どういうことだったんでしょう?」
「去年の七月ごろから、日本の天然ウラニウムに外国人が急に興味をしめすようになって、『二三八』しか出ない石山同然のものを三万ドルで買うというんです……間もなく、その訳がわかった……去
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