ンパンを飲んでいるところがうつっている。
 ジャンパーを着て、牛車で野菜を売って歩いていた坂田省吾に、こんな生活の面があるとは信じられないようなことだった。
「霞山会館の、バイヤーたちの万霊節のパーティの写真です。これはパーマー、これはウィルソン、これが坂田……この三日後に神月が自殺した……不良外人が複雑にひっかかっているので難儀しているのですが、この飛行鞄を山岸芳夫に預けたのは、このうちのどれです? ごぞんじなら教えてください」

  春に寄す

 亀《かめ》ヶ|谷《やつ》のトンネルを抜けると、車窓から見える景物がにわかに春めかしくなる。
 晴れているくせに、どこかはっきりしない浅黄色の春の空を背景にして、山裾の農家の瀬戸に、ルビー色のめざましい花をつけた紅梅が一本、立っている。トンネルの闇におししずめられた目には、泰西画廊で見た、たれやらの「花火」の絵のように、あざやかだった。
 家族連れのGIが、窓ガラス越しにカメラをむけて、しきりにシャッターをきっている。
 サト子は網棚からとりおろしたスプリングに腕を通しながら、けさ、出がけにあったちょっとした出来事を思いだした。
 小径づく
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