これで二人ツブレたわけね。こうなれば山岸だってひっこむでしょうし、あとは、飯島の叔母さまと坂田だけ……秋川と中村が後押しをしているから、絶対にあなたの勝利よ」
翼屋へ帰ると、中村と警視庁の防犯課の係官というのが、サト子を待っていた。
いつものおだやかな中村ではなくて、ひどく冷淡にかまえていた。サト子は雲から足を踏みはずしかけているあぶなっかしさを感じながら、おずおずと中村に言いかけてみた。
「ご縁があるとみえて、よく係合いになるわね」
中村は返事もしなかった。大学の助教授といったタイプの係官が、床の上に置いた飛行鞄《エア・バッグ》のほうを顎でしゃくった。
「この中から、なにか、お出しになりましたか?」
「さわったこともないわ」
係官はジッパーに封印をすると、それを無造作にテーブルの上に投げだした。
「香港《ホンコン》で流している偽《にせ》ドルです。こんなものを使ったら、飛んだことになるところでした」
そういうと、ポケットから写真をだしてサト子に見せた。
いくつも丸卓を置いた豪奢《ごうしゃ》なホールの前景に、タキシードを着た坂田省吾が、神月と二人の外国人の間にはさまって、シャ
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