考えなかったでしょう」
「いろいろなひとが、なにかいうけど、どういうことなのか、よくわからないのよ」
「あなたが神月に会った日、秋川と愛一郎がその席にいて、うまいところへ話がいきかけたので、神月がパーマーのほうをキッパリと断ったら、間もなく、愛一郎が急に強くなって、その話をこわしてしまったふうなの……それだけが、自殺の原因だとも思わないけど、なぜ愛一郎が急に強くなったのか、なにか心当りはない?」
愛一郎に届けてくれと言って、久慈の娘が袱紗包みの手紙の束を持ってきたことを話すと、カオルは考えてから、
「それが秋川の夫人さんの古い恋文だったんだわ……愛一郎も神月も捜しだせなかったものを、久慈の娘が捜しだしたというわけなのね」
「あたし、たいへんなことをしてしまった」
「あなたがどうしたというようなことじゃないわ、天命なのよ……でも、もういちど浮びあがらせてやりたかった。あたしもいっしょにブラジルへ行くはずだったのよ、もう日本へ帰って来ないつもりで……ごめんなさい、長い電話になったわ……あす有江というひとが横浜に着くんですってね? 神月は死んだし、芳夫は横浜税関の監視部で調べられているし、
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