それから、OSSで罐詰や腸詰を山ほど買いこんで、西荻窪の離屋へ帰って、そんなものに取巻かれながら、二三日、安心してごろっちゃらしていたい……」
「それも思召しどおりにいたしましょう……それで、今日はどこへ行くところだったんです?」
「目白の秋川さんのところへ伺う約束になっているの」
 芳夫はむずかしい顔になって、首を振った。
「それは、やめていただきましょう。それじゃ、日米タイムスのやつらを向けてやった甲斐がなくなる」
「あれは、あなたの仕業だったのね? おかげで、だいじな話がこわれてしまったわ」
「神月が恐れているのは、あなたのことが新聞に書きたてられて、じぶんらの暗い仕事が明るみに出ることなんだ。新聞記者をさしむけてやれば、いやでもあなたを逃がすだろうと思ったから」
「なんのために、そんなことをするの? 神月はともかく、秋川さんまでが迷惑するわ」
「秋川はいい人間だが、二ヵ月ほど前から、あなたにとって危険な存在になっているんです。秋川のところへ行くのは、当分、見合わせてください」
「それは命令なの?」
「いや忠告です……それから、いま西荻窪と言ったが、あそこの離屋へ帰るのも、やめて
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