顔が半分隠れるような大きな埃よけの眼鏡をかけ、冗談みたいな細い口髭を生やしているところは、どう見てもトニー・なにがしの弟子といったかっこうだ。
 カオルの話では、築地のアパートにいることを探りだしたのは、芳夫だということだった。この出会いも自然らしくない。『アラミス』にいることを知って、待伏せをしていたとしか思えなかったが、顔を見ていると、バカらしさが先にたって、まじめな話などはできそうもなかった。
「この春、日比谷の角で会ったきりでしたね。しばらく、ぐらいのことは言ってほしいよ」
「しばらくね」
「毎日、待っていたんですぜ、遊びに来てくれるっていうことだったから……おっと、こんなのんきな話をしていられない。ほら、新聞記者が出てきた……トンマな顔をして突っ立っていないで、早く」
 さっきの記者たちが、ドヤドヤと『アラミス』から出てきた。先頭の二世らしいのが、サト子のほうを指さして、
「あれだ、あそこにいる」と叫んだ。
 サト子が、あわてて芳夫のとなりに辷りこむと車はいきなり四丁目のほうへ走りだした。新聞社のセダンが、おおあわてにスタートしかけているのが後の窓から見えた。
 芳夫は
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