「新聞社の連中が、いま、ここへおしかけてくるんだそうです。たれか知らないが、電話で知らせてくれました……逃げ隠れすることはないのだが、これ以上わずらわしくなるとお困りでしょうから、やはり避けたほうがいいのかもしれない」
 サト子は空腹と、朝からの気疲れでわれともなく焦々した声をだした。
「だから、どうすればいいのか、言ってください」
「グリルへ行って、われわれと関係ないような顔で掛けていらっしゃい……私があしらっていますから、その間に、気づかれないように、すうっと出て行くんです……私の家、ごぞんじですね。電話をしておきますから、先に行って待っていてください……坂田君も来るでしょうから、じっくりと相談しましょう」
 坂田という名が耳にさからったが、どの坂田と聞きかえすひまもない。一段高くなった、奥のグリルの丸椅子に掛けると、ガゼット・バッグをかついだ新聞記者らしいのが三人、ラウンジへ駆けこんできて、突っかかるような調子で秋川にたずねた。
「日米タイムスのもんですが、水上サト子という、十三億の当り屋はどこにいます?」
「そんなお嬢さんは知らないね。見るとおり、男ばかりだ」
「おかしいな……
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