ばならないんだ? お前がたれよりも好きだと言っているサト子さんを見捨ててまで、神月君を庇いだてしなければならない義理があるのか」
「ぼく神月さんに借りがあるんです」
「借りというのは……金のことか?」
愛一郎は祈るように目をとじた。
神月にどうにもならない負債があることをサト子は知っているので、どういうおさまりになるのかと思って、気が気でなかった。
秋川は額を曇らせて、じっと考えこんでいたが、間もなく笑顔になって、愛一郎にうなずいてみせた。
「それは、パパが払ってあげる」
「なぜ、ぼくがそんな借りをつくるようになったか、理由を聞かないでも?」
「聞くなと言うなら、聞かなくとも、いい」
愛一郎の顔に、ほっとしたような色が浮んだ。そのとたんに、涙が筋をつくって頬につたわった。
秋川は、みえも張りもなく愛一郎の肩を抱きながら、
「子供の借金を、オヤジが払うのは、あたりまえのことだ。その話は、パパと神月君できまりをつけよう。それで、いいね?」
愛一郎がうなずいた。
ボーイが秋川に電話だと、つたえた。秋川は立って行ったが、しばらくして戻ってくると、ラウンジの入口へサト子を呼んだ。
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