とサン・パウロ……行きがけに、シアトルと桑港《サン・フランシスコ》でもやる予定です」
「ドイツのグラス・ファイバーを、日本からブラジルへ持って行くというのは、どういうことなんでしょう?」
「対米感情が悪いので、ビニロン系のものは、ブラジルでは伸びない。それで、サン・パウロの五百年祭の前に、しっかりと食いこんでおこうというのです……だから、モデルもアメリカ人でなく、日本から素質のいいひとに行ってもらうことにしました」
「それで、あたしの役は、どういう?」
「あなたはリーダーになって、十人ばかりのモデルを引率して行ってくださればいいんです」
「日程は、どれくらい?」
「往復の日数も含めて、二週間」
 話の筋は通っている。秋川が心配していたような、うろんなところはどこにもない。二週間ですむのだったら、日本を離れることも苦痛ではない。シアトルに寄るなら、お祖父さんにも会えるわけだし、ギャラさえよかったら、この話をきめたいと、承諾するほうにサト子の気持が傾きかけた。
「契約書のようなものがありましたら……」
 神月は笑いながら首を振った。
「むずかしい手続きはいらない。紳士協約でいきましょう」

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