「じゃ、ご遠慮なく」
「遠慮じゃない、そちらの用談がすむのを待っているんだ」
神月は秋川の意中をはかりかねて、チラリと不安な表情をうかべた。
「変な顔をすることはない。そっちの話がすんだら、サト子さんを、どこかへ誘いだそうというだけのことだ。時間がかかる?」
「すぐ、すむ」
「そんなら、ここにいようか。お邪魔でなかったら」
秋川は、立ちかけていた椅子に腰をおろしながら、
「サト子さんから聞いたんだが、ドイツのグラス・ファイバーの宣伝をするんだって?」
「そうなんだ」
「妙なことをはじめたもんだな。君の才覚ではあるまい。バック・アップしているのは、なにものなんだ?」
「れいのパーマーさ」
「パーマーって、誘導弾の売込みにきているパーマーのことか?」
神月は、いやな顔をしながら、うなずいた。
「おれが翼賛会の興亜本部にいるとき、あいつがオットー大使の後釜になってやってきた……終戦直後、一時、熱海の万平ホテルに、かくまっておいたこともあるんだ」
「日銀関係では、歓迎会をやったりしているが、なんだか、うろんな人物だな。日独協会なんかじゃ、ナチの系統などは追いだしてしまえなんて、騒いでいる
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