きとおっている。
サト子は、ビニールのネッカチーフに包んだ暁子からの預りものを、ぎゅっと胸のところへおしつけ、風に吹き飛ばされながら、八丁目から六丁目までの間を、いくども往復して時を消していたが、なかなか時間が経たない。もういいころだと、喫茶店の時計をのぞいてみると、やっと正午をすぎたばかり。約束の時間までに、まだ一時間以上もあるが、身体をまげて歩いていたので、腰のあたりがズキズキと痛んできて、あてどもなく風の中を歩きまわるのが、我慢ならなくなった。
七丁目の角に、サト子たちのモデル・クラブの事務所がある。「モードの店」とガラスの切抜文字を貼りつけた飾窓の上で、フランスの三色旗まがいの派手な日除《ひよけ》が、吹きちぎられそうに動いている。
出がけに、モデル・クラブの事務所から電話で、いい仕事があるから、すぐ来いと言ってきた。最近、どこかに大きなファッション・ショウがあるらしいことは、大矢シヅも言っていたし、曽根というバアのマダムなどは、こちらの意志もたしかめずに、否応なしにおしつけてしまいたいような口ぶりだった。
ファッション・モデルという職業になじんでいる間は、さほどにも感じ
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