い話があるの」
カオルは、気をもたせるような含み声で、
「あるにはあるのよ……飛びつくほどの話でもないけど、あなたなら、どうかと思って……」
「どんな話でしょう」
「ドイツのグラス・ファイバーと、アセテートを輸入している生地屋《きじや》なんだけど、一流のデザイナーと演出家を専属にして、ファッション・ショウにレヴュウをくっつけて、中米と南米で、日本趣味の大掛りな宣伝をしようというわけ……プロデューサーがいうのよ。展示する服より、じぶんの器量をヒケラかそうという、映画スター気取りのモデルは、たくさんだって……着ているものの枠《フレーム》のなかにキチンとおさまって、デザインや生地の美しさを生かしてくれるような、すぐれた感覚をもったひとだけを集めたい意向なの……あなたにうってつけの話だと思って、推薦しておいたわ。あなたをグループの代表にするという条件で……」
「あたしなんか、柄でもない。ほかに、いくらでもいいひとがいるでしょう。そんな責任を負わされて、外国へ行くなんて、考えただけでも、気が重くなるわ」
カオルは、機嫌よくうなずいて、
「気がなければ、しようのないことだわね。無理におすすめし
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