なのよ。固いうえにも固い、官僚のコチコチが、第三国人の闇商人が住むようなバカでかい家に住んで、不良外人ぶって、密輸入の真似をしたり、ほしくもない女を囲ったりするのは、なんのためなんでしょう? ごぞんじならおしえていただきたいもんだわ」
「政治の話ですか? あたしどもには、政治のことは、さっぱり……あなたは、ナチの大立物だった、パーマーのアミだということだから、そんなほうは、おくわしくっていらっしゃるんでしょうけど……パーマーというひとは、西ドイツから、特殊兵器の売込みにきているなんて言っているけど……」
「特殊兵器どころか、光学機械だの、グラス・ファイバーだの、アセテートだの、いろいろよ。なんだかしらないけど、ゴッタに持ちこんで、汗をかきかき商売をしているわ」
「あたしが聞いたところでは、そのへんのところが、ちょっとちがうようなんですけど……西ドイツだなんて言ってるけど、ドイツもずうっと東寄りの、ソヴエットに近いほうに籍があるんだって。横浜《はま》の外人たちは、ソヴエットの経済スパイだろう、なんて言っていますわ……さっきのウラニウムのことですけど、輸出禁止の法律がないのをいいことにして
前へ 次へ
全278ページ中184ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
久生 十蘭 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング