めた白っぽい顔になって、
「あたしなどは、どうせ、学も知恵もない女だから、こんな考えかたをするんでしょうが、この問題のご当人は、ヤマさん、あなたじゃなくて、そこにいらっしゃる水上さんだと思うんだけど」
 カオルは、首をかしげて、
「わからない……あなたのおっしゃりたいのは、どういうことなの?」
「気にさわったら、おわびしますが、正直なところ、あなたからお話を伺っても、しようがないように思うんです」
 カオルは豹の皮の手套《マフ》のポケットからシガーレット・ケースをだして、煙草に火をつけながら、
「あたしの言いかたが、足りなかったのかしら。こんな赤ん坊みたいなひとに、むずかしいことを言いかけてみたって、あなたがたの気のすむような返事はできなかろうということを、言ったつもりなんだけど」
 曽根は、張りあうように煙草に火をつけ、しっかりと腰をすえたかまえになって、
「あたしどもには、そのへんのところが、よくわかりかねるんですがねえ……何億という財産が、どうにかなるというのに、ご当人が、ぜんぜん知らないというのは、どういうことなんでしょう? 講談なんかに、ありますわね。お家騒動とか、お家乗っ取
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