しながら、サト子のほうへ近づいて行った。
「こんなところに、隠れこんでいようなんて、考えもしなかったわ……あのとき、ご挨拶もしないで帰ってしまったけど、怒っているわけでもないでしょう……しばらくね、握手ぐらい、しましょうよ」
サト子は、途方にくれながら、おずおずとカオルの手を握った。
「なんだか、お丈夫そうになったわ」
カオルは、首をかしげてシナをつくりながら、
「そう見えるなら、ありがたいわ。このごろ、ゴタゴタして、たいへんにはたいへんだったんだけど……」
サト子が、たずねてみた。
「あたしがここにいること、たれに聞いた?」
カオルは、この質問を予期したうえで、
「芳夫から」
と、間をおかずにこたえた。
「芳夫のタンテイ趣味には、家じゅうが悩まされているのよ……いつだったか、泰西画廊であなたを見つけて、あとを尾《つ》けたんですって……あなたがお友だちの厄介者になっていることまでしらべあげてあるの……バカよ、あのひとは」
マジマジと、シヅの顔を見て、
「飯島の……方だったわね。あたしを、おぼえていらっしゃるでしょ? 山岸のカオルよ」
戸口に立ちはだかっている女たちが、焦《
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