どうか、お掛けください」
坂田は椅子には目もくれず、テーブルのそばに立ったなりで、
「いや、有江さんの伝言を伺ったら、すぐ失礼しますから」
と、淀《よど》みのない口調で言った。
五尺八寸くらい。バランスのとれた見事なからだつき。アメリカでは鉱山《やま》歩きばかりしていたということだが、皮膚の芯まで日にやけ、一流のスポーツマンに見る、健康そのもののような爽《さわやか》な印象を与える。
「でも、そうして立っていらしても、あなた……」
由良は手でシナをしながら、悪強《わるじ》いにかかった。うるさくなったのか、坂田は椅子をひっぱって、テーブルと脇卓の間に掛けた。芳夫の顔に、まずいところへすわられたという、当惑の色が浮かんだ。
「それじゃ、話が遠いから」
芳夫のほうへ陰のない笑顔をむけると、坂田は、うしろの脇卓の端に肱をかけ、長々と足をふみのばした。そのひとらしい自然さがあって、そんなようすも、無礼には見えなかった。
「ここで結構……さっそくですが、有江さんの伝言というのは、どういうことでしたか」
由良は、子供にでもいうような調子で、なだめにかかった。
「有江さんの伝言もそうだけど、
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