の」
「日本の相続法では、どんな遺言書を書いても、遺産は、一応、長女であるあなたのところへ行く……サト子さんが訴訟をおこしても、均分相続ということになって、長女なるあなたの手に、半分は残る……水上氏は、それではあきらめきれないので、証人を二人立てて、将来、サト子さんに再譲渡するという約束で、鉱業権を一ドルで坂田にわたした……有償で譲渡した形式にして、坂田にサト子さんの代襲相続をさせたわけです」
 由良は、足をバタバタさせながら叫んだ。
「たった一ドルで!……なんという気違いなんだろう」
 ネオン・チューブに灯が入り、暗くおどんでいた部屋のなかが、浮きたつように明るくなった。サロン・バアのピアノは、まだつづいている。
「そういう条件で、坂田がサト子の代襲相続をしたことは、りっぱな証人が二人もあるんだから、坂田をおさえつけるぐらいは、わけのないことだ」
「そう簡単にいくでしょうか……代襲相続というのは、言葉の上だけのことで、たとえ一ドルにもせよ、代償を払って譲り受けたのだから、坂田がノーと首を振れば、これは、どうにもならない。結局は、長い訴訟になる……おばさまは賢夫人だし、離婚訴訟で、法律
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