、曖昧な表情をつくりながら、
「正直なところ、じぶんにも、よくわからないんですがねえ、なにか真剣になって打込むものがないと、私のような男は、すぐ堕落してしまうから、そんな精神で、やっているのでは、ないのでしょうか。つまりは、サト子さんのためでも金のためでもない。エゴイズムといったようなもの……」
由良は欠伸《あくび》をしながら、壁の電気時計を見あげた。
「おしゃべりは、これくらいにしておきましょう。約束は何時なの?」
「四時です」
「自信がありそうなことを言っているけど、あてになる話なのかしら」
「西荻窪へ、アメリカから、また手紙が来ていました。届けてやると言って、預ってきましたが……」
由良が椅子から身体を乗りだした。
「この前の手紙のつづき、といったようなものなの?」
「水上氏の遺言に立会った、二人の証人のうちのひとり……シアトルの有江曽太郎というひとの手紙なんですが、おばさまとしては、聞きにくいところがあるかもしれない……本来なら、長女のところへ行くはずのものが、なぜ、あなたを素通りして、お孫さんのサト子さんのほうへ行くようになったか、そのへんの事情が、その手紙に、くわしく書
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