、着たくないもんだ……十三億をこっちへ取ろうというのは、それは、サト子さんの正当な権利だから……そのあとで、おやじとあなたが、どういう分配をするのか知らないが、私は、サト子さんだけのために、やっているつもりなんです」
「サト子だけのために? 結構でしょうとも……どのみち、あなたところへ嫁くんだ。どんなに力を入れたって、損にはならないわねえ。三百五十万ドルという、金《きん》の裏打がしてあるひとなんだから」
 由良はバカにしきった顔で、突き放すようなことを言った。芳夫はテーブルに頬杖《ほおづえ》をつきながら、ふむと鼻を鳴らした。
「それとも、ちがうようだ……金《かね》は、ほしくないことはないけど、われわれは、おばさまたちのように、ガツガツしちゃいないんですよ」
「あなたが、サト子を好きだってことは、あたしも知っているわ」
「また、ちがった……われわれの年代は、あなたが考えているほど、惚れっぽくない……むかし、夏の鎌倉で、おばさまたちがやったように、あっちこちで、簡単にベタベタくっつくようなことはしないんですよ」
「すると、あなたの目的はなんなの?」
 芳夫は、心のありかを隠そうというように
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