ても、うるさいピアノね。さっきから奏きづめだ。やめてもらうわけにはいかないの。話もなにもできやしない」
「そんなに、うるさいですか……二時間ほどの間、奏きづめに奏いてくれるように、たのんであるんですが……おばさま、お聞えにならない?……クルクル回る音が?」
 由良は首をふった。
「聞えないわ。なんのことなの?」
 芳夫は椅子から立ちあがると、脇卓のテーブル・クロースをまくって、棚板の上に置いたテープ・レコーダーを見せた。
「こんな仕掛けがしてあるんです……マイクは、この花瓶の中に入れてある。ピアノは、この場の雰囲気をつくるためなんで……」
 レコーダーのテープの巻枠《リール》が、リズミカルにクルクル回っている。
「どこで音がする? でたらめをいうのも、いいかげんになさい」
 からかわれたのだと思って、由良は、年がいもなく大きな声をだした。芳夫は、子供のままに発達をとめたような、年輪不明の顔に薄笑いをうかべながら、
「おばさまが、それほどオクレているとは、思っちゃいません。ちょっと、気をひいてみただけのことなんで……」
「オクレているっては、あなたのことでしょう。こんなオモチャ、大まじめ
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