とになったら、ぼくは君の義理の子供になるわけだからね。機嫌《きげん》をとっておくほうが、よくはないのか」
「万一、そうなっても、あなたのようなひと、子供だなんて思わないわ」
「失礼だけど、ぼくのほうも、そうだ」
「あなた、ひどくイライラしているようだけど、どうしたというの?」
「うるさい」
愛一郎は、露骨に軽蔑の意をみせながら、車のほうへ立って行き、崖端に衝突して傷《いた》んだところを、熱心にしらべはじめた。
それが癇にさわったらしく、カオルは、はじかれたように立ちあがると、下草のなかを走って行って、バンパー(緩衝器)のねじまがったところをのぞきこんでいる愛一郎の背中を、力まかせにこづいた。はずみで、愛一郎は頭を泥よけの端にぶつけ、両手で頭をかかえて、そこへしゃがみこんでしまった。
愛一郎は、依怙地なかっこうで、石のように凝り固まっていたが、だしぬけに振り返ると、思いきり、カオルの頬をひっぱたいた。うまいところへ、あたったのだとみえて、ピシャリと景気のいい音がした。カオルは、ものもいわずに、猛然と愛一郎に組みついて行った。
見事な体当り。愛一郎は、あっさり寄り切られて、草むらに
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