の答えをする。だんだん話して行くと、山の中におって海を知らないのであるから日本の国がどこにあるということを説明するのに甚だ困った。まず第一海というものが分らないのであるから、この山を越すと向うにインドのような大きな国があり、その先に恒河のような大きな河を幾つも合せたようなのがあって、その先にあるのがジャッパンプールである、そのジャッパンプールという所はインドの千分の一ぐらいしかないけれどもいま世界に雄飛している国だといったふうに説明するのでありますがなかなか要領を得ない、けれども静かに考えて、そうして昔ながらの哲学の理想を説き出すというようなことになるというと、なかなか雄弁に説き出す。これは唯一例でありますけれども、インドにはたくさん乞食がおりますが、それは決してその形に見えるような乞食のみの人間ではないということは明らかにいい得るのであります。
 で、われわれインドの乞食に対する時にはよほど寛大の態度で臨まぬというと時に失敗することがあるのであります。そういうふうな国柄であります。でどんな生活をしておっても自分の精神は失わない、どんなに蹂躙されても自分の理想を失うということはしない、
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