疑なく、甘露の源底に達すれば、彼を我は婆羅門と謂ふ。
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甘露―涅槃を云ふ。
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四一二 人若し此の世に於て福と罪と兩《ふたつ》ながら執するを息め、憂なく、貪を離れ、清淨なれば彼を我は婆羅門と謂ふ。
四一三 月の翳《くも》り無く、淨く澄み、明なる如く、變化的生存の愛已に盡きたる人を我は婆羅門と謂ふ。
四一四 人若し此の敵と險道と輪廻と癡を越え、已に渡り、彼岸に達し、靜慮し、欲なく、疑なく、所取なく、安穩なれば、彼を我は婆羅門と謂ふ。
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敵―貪等を指す。
險道―煩惱。
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四一五 人若し現世に於て諸欲を斷ち、家を捨てて遍歴し、欲の存在を盡せば、彼を我は婆羅門と謂ふ。
四一六 人若し現世に於て愛を斷ち、家を捨てて遍歴し、愛の存在を盡せば、彼を我は婆羅門と謂ふ。
四一七 人の軛を斷ち、神の軛を超え、一切軛の束縛を離るれば、彼を我は婆羅門と謂ふ。
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神の軛―軛は或種の煩惱を云ふ、人や神を役使し自在ならざらしむればなり、「神」とは變化的生存者中の一類のものを指す、即ち人間を超出せ
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