愛欲を離れたる人に憂なし、何の處にか畏あらん。
二一六 渇愛より憂を生じ、渇愛より畏を生ず、渇愛を離れたる人に憂なし、何の處にか畏あらん。
二一七 戒と見とを具へ、正しく、實語し、自の所作を作す人は衆に愛せらる。
二一八 無名を希望し、作意して怠らず、心諸欲に拘礙せられざれば、彼は上流と名づけらる。
[#ここから2字下げ]
無名―涅槃
上流―生死の流を上る義なれば涅槃に近づける人のことなり、若し後世の學者風の解釋に依れば所謂上流般涅槃にして不還の一なり。
[#ここで字下げ終わり]
二一九 久しく遠方に行き安全にして還る人を親戚及び朋友が歡こんで迎ふる如く、
二二〇 是の如く福を造り此の世より他(世)に往ける人は、福業に迎へらる、還り來れる所愛が親戚に(迎へらるゝが)如く。
[#改ページ]
第十七 忿怒の部
二二一 忿を棄てよ、慢を離れよ、一切の結を越えよ、精神と物質とに著せざる無所有の人に諸苦隨ふことなし。
[#ここから2字下げ]
結―人を結縛するもの即ち煩惱。
[#ここで字下げ終わり]
二二二 若し人己に發せる忿を制すること奔車を(止むるが)如くなれば、彼を我は御
前へ
次へ
全62ページ中32ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
荻原 雲来 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング