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三十六駛流―六境の愛を六とし、之を欲(感覺)、有(生存)、無有(斷滅)の三に乘じて十八とす、此の十八を更に内に依る愛分別と外に依る愛分別との二とし三十六となる。
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三四〇 流恆に漏泄し、蔓長へに萌す、蔓の生ずるを見れば慧を以て其根を斷て。
三四一 人の喜悦は流漫《ひろがり》して且つ愛著せらる、斯かる人は歡に耽り、樂を求め、生と老と(病と死と)を受く。
三四二 渇愛に驅使せらるゝ人は兎の※[#「罘」の「不」に代えて「且」、89−9]《わな》に係つて走るが如し、結と著とに縛せられて數しば長時の苦を受く。
三四三 渇愛に驅使せらるゝ人は兎の※[#「罘」の「不」に代えて「且」、89−11]に係つて走るが如し、故に比丘は己の離染を求めて渇愛を除遣せよ。
三四四 人あり(在家の)林を出でて(行者の住處なる)林に心を委ね、(在家愛欲の)林を脱して復《また》(愛欲の)林に趣くときは、見よ、此の人は是れ已に解脱して再び縛を求むるなり。
三四五 鐵、木、又は草の縛を賢人は堅固なりと謂はず、珠、環、妻、子に於ける染著顧戀は、
三四六 重く、緩く、脱れ難ければ賢人は此を堅き縛と謂ふ、(彼等は)顧慮なく此を切り欲樂を斷ちて遍歴す。
三四七 貪に著する人は自ら造れる流に沿うて行く、蜘蛛が(自ら造れる線に沿うて行くが)如く、賢人は顧慮なく此を切り、欲を斷ちて遊行す。
三四八 汝は有の際を窮めて、先を離れ、中を離れ、後を離れ、意一切處に於て解脱し、再び生と老と(死と)を受けじ。
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先、中、後―過去、現在、未來三世の蘊に於ける愛欲を指す。
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三四九 尋思に擾亂せられ、貪猛利にして、生活に樂を求むる人の愛欲は倍《ますま》す増長す、彼は眞に縛を堅うす。
三五〇 尋思の寂靜を樂ひ、恆に熟慮し不淨を觀ずる人は必ず魔の縛を滅せん、彼は(魔の縛を)斷たん。
三五一 究竟に到りて懼れず、愛を離れて罪垢なく、有の箭の斷つ是れ最後の身なり。
三五二 愛欲を離れ、取なく、詞の訓釋に通達し、字の合集と(字の)前後とを知る人あらば、其の人こそ最後身を有する大慧者と謂はる。
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字の前後を知る―初の字を聞けば中と後の字は之を聞かざるも此を了解し、後の字を聞けば初と中との字を聞かざるも此を了解し、中の字を聞けば初と後の字は之を聞かざるも此を了解するを云ふ。
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三五三 我は一切に勝ち、一切を知る、一切事件に汚されず、一切を捨て、愛盡きて解脱し、獨り自ら覺る、誰をか教へん。
三五四 法施は一切施中に勝れ、法味は一切味中に勝れ、法樂は一切樂中に勝れ、愛盡は一切の苦に勝る。
三五五 受樂は彼岸を求めざる愚人を殺す、愚人は受樂を貪りて敵を(殺すが)如く己を殺す。
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彼岸―涅槃のこと。
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三五六 田地は草に害はれ、人は貪に害はる、故に離貪者に施せば大果あり。
三五七 田地は草に害はれ、人は瞋に害はる、故に離瞋者に施せば大果あり。
三五八 田地は草に害はれ、人は癡に害はる、故に離癡者に施せば大果あり。
三五九 田地は草に害はれ、人は欲に害はる、故に離欲者に施せば大果あり。
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第二十五 比丘の部
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比丘―出家したる佛の弟子。
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三六〇 眼を護るは善し、耳を護るは善し、鼻を護るは善し、舌を護るは善し、
三六一 身を護るは善し、語を護るは善し、意を護るは善し、總てを護るは善し。
三六二 手を制し、足を制し、語を制し、最も善く制し、内を悦び、定に住し、獨處して滿足する人を比丘と謂ふ。
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内を悦ぶ―修定を樂ぶを云ふ。
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三六三 比丘若し口を制し、説く所賢善にして、寂靜に、義と法とを示さば其言甘美なり。
三六四 比丘あり、法に住し、法を好み、法を隨思し、法を隨念すれば、法を退することなし。
三六五 己の所得に不足を懷く可らず、他を羨まざれ、他を羨む比丘は心の安定を得じ。
三六六 比丘あり、己の所得少なきも其の所得に於て不足を懷かざれば諸神尚ほ此の淨命無懈怠の者を讚す。
三六七 あらゆる事物に於て所有の想なく、(其物)滅盡に於て憂惱せざる人こそ眞の比丘と謂はる。
三六八 何時も慈心ありて佛教を信ずる比丘は、變化止息し寂靜安樂なる處に到るべし。
三六九 比丘よ、此の舟を※[#「戸の旧字+斗」、95−10]《く》め、水出でなば容易に行かん、貪と瞋とを斷たば汝は涅槃に到らん。
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舟―我性に喩ふ。
水―邪思惟に喩ふ。
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三七〇 五を斷ち、五を捨て、また五を勤修せよ、五
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