の字は之を聞かざるも此を了解するを云ふ。
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三五三 我は一切に勝ち、一切を知る、一切事件に汚されず、一切を捨て、愛盡きて解脱し、獨り自ら覺る、誰をか教へん。
三五四 法施は一切施中に勝れ、法味は一切味中に勝れ、法樂は一切樂中に勝れ、愛盡は一切の苦に勝る。
三五五 受樂は彼岸を求めざる愚人を殺す、愚人は受樂を貪りて敵を(殺すが)如く己を殺す。

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彼岸―涅槃のこと。
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三五六 田地は草に害はれ、人は貪に害はる、故に離貪者に施せば大果あり。
三五七 田地は草に害はれ、人は瞋に害はる、故に離瞋者に施せば大果あり。
三五八 田地は草に害はれ、人は癡に害はる、故に離癡者に施せば大果あり。
三五九 田地は草に害はれ、人は欲に害はる、故に離欲者に施せば大果あり。
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    第二十五 比丘の部

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比丘―出家したる佛の弟子。
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三六〇 眼を護るは善し、耳を護るは善し、鼻を護るは善し、舌を護るは善し、
三六一 身を護るは善し、語を護るは善し、意を護るは善し、總てを護るは善し。
三六二 手を制し、足を制し、語を制し、最も善く制し、内を悦び、定に住し、獨處して滿足する人を比丘と謂ふ。

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内を悦ぶ―修定を樂ぶを云ふ。
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三六三 比丘若し口を制し、説く所賢善にして、寂靜に、義と法とを示さば其言甘美なり。
三六四 比丘あり、法に住し、法を好み、法を隨思し、法を隨念すれば、法を退することなし。
三六五 己の所得に不足を懷く可らず、他を羨まざれ、他を羨む比丘は心の安定を得じ。
三六六 比丘あり、己の所得少なきも其の所得に於て不足を懷かざれば諸神尚ほ此の淨命無懈怠の者を讚す。
三六七 あらゆる事物に於て所有の想なく、(其物)滅盡に於て憂惱せざる人こそ眞の比丘と謂はる。
三六八 何時も慈心ありて佛教を信ずる比丘は、變化止息し寂靜安樂なる處に到るべし。
三六九 比丘よ、此の舟を※[#「戸の旧字+斗」、95−10]《く》め、水出でなば容易に行かん、貪と瞋とを斷たば汝は涅槃に到らん。

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舟―我性に喩ふ。
水―邪思惟に喩ふ。
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三七〇 五を斷ち、五を捨て、また五を勤修せよ、五
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