ば斯く言ふ。
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二七〇 生を害するを以て阿梨耶なるに非ず、一切の生を害せざるに由つて阿梨耶と謂はる。

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阿梨耶―「聖」の義なるも、又「敵」と云ふ語に音近きを以て斯く言ひしものか。
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二七一 我は唯禁戒を持ち、或は復《また》多く學び、又は心の安定を得、或は閑靜處に住みて、
二七二 (此に由つて)凡夫の習はざる出離樂を證せず、比丘よ、未だ心中の穢を盡さずんば意を安んずる勿れ。
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    第二十 道の部

二七三 諸道の中にて八支を勝とし、諸諦の中に於て四句を(勝とし)、諸徳の中に於て離欲を勝とし、二足の中に於て具眼を(勝とす)。

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八支―正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定の八は解脱涅槃に到る要道なれば之を八支聖道と名づく。
四句―苦、集、滅、道の四は本來自然の定則なれば之を四聖諦と名づく。
具眼―佛陀を指す。
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二七四 是れ即ち正しき思想の道なり、他に(正しき思想の)道なし、汝等是を實行せよ、此(の世)は魔羅の幻化なり。
二七五 汝等此(の道)を實行すれば當に苦を盡すべし、我已に(毒)箭の除滅することを悟り、汝等に道を説く。
二七六 汝等須らく勗めよ、如來は説者なり、思惟して修行する人は魔の縛を脱る。
二七七 總て造作《ざうさ》せられたる物は無常なり、と、慧にて知るときは是に由つて苦を厭ふ、是れ淨に到る道なり。
二七八 總て造作せられたる物は苦なり、と、慧にて知るときは是に由つて苦を厭ふ、是れ淨に到る道なり。
二七九 諸法は無我なり、と、慧にて知るときは是に由つて苦を厭ふ、是れ淨に到る道なり。
二八〇 起くべき時に起きず、壯く、強くして、※[#「りっしんべん+頼」、76−6]惰に思惟思量に弱く、懈たり、怠る人は、慧に由つて道を知ることなし。
二八一 語を愼しみ、意を護り、身に不善を造らず、此の三業道を淨めよ、(大)仙所説の道を得ん。

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大仙―佛。
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二八二 實《げ》に觀行より智を生ず、不觀行より智を盡す、此の利と不利との二の道を知り自ら修して智を増さしむべし。
二八三 林を伐れ、樹を伐る勿れ、林より怖畏を生ず、林と株とを伐りて、比丘衆よ、無林となれ。

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