不誦を曼怛羅の垢とし、不勤を家の垢とし、懈怠を色の垢とし、放逸を護者の垢とす。

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曼怛羅―古印度宗教の聖典なる吠陀の本文にして婆羅門の朝夕應に誦すべきもの。
不勤云々―人家業を治めざれば家道窮廢するをいふ。
懈怠云々―人若し洗淨嚴飾に怠れば何物も不潔となり其の美色を失ふを云ふ。
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二四二 不貞を女の垢とし、慳を施者の垢とし、惡の所行を今世及び後(世)の垢とす。
二四三 無明は此等垢中の垢、第一の垢なり、比丘衆よ、此の垢を絶ちて無垢なれ。
二四四 慚なく、強顏に、惡性に、驕傲に、大膽に、敗徳の人には生活は易し。
二四五 然るに、慚あり、常に清淨を求め、執著なく、謙讓に、清淨に活命し、智見ある人には生活は難し。
二四六 人若し動物を殺し、妄語を爲し、世の中に於て與へざるを取り、他の妻を犯し、
二四七 ※[#「穴かんむり/卒」、第4水準2−83−16]羅、迷麗耶酒に沈湎するならば、現世に於て既に彼は己の根を掘るものなり。

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※[#「穴かんむり/卒」、第4水準2−83−16]羅―穀類を※[#「酉+榲のつくり」、第3水準1−92−88]して成る酒。
迷麗耶―根莖花果等を※[#「酉+榲のつくり」、第3水準1−92−88]して成る酒。
己の根を掘る―己を亡ぼすを云ふ。
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二四八 人よ、是の如く知れ、制御なきは惡なり、貪欲と非法とをして永く汝を苦しめ、損害せしむる勿れ。
二四九 人は所信に隨ひ所好に隨ひ施與す、人若し他人の(施せる)飮食に於て(我の得たるは或は少或は※[#「鹿/(鹿+鹿)」、第3水準1−94−76]なりと謂うて)羞恥を懷くときは晝も夜も彼は心の安定を得るに由なし。
二五〇 人若し此の(羞恥)を斷ち、根絶し、全く害するときは、晝も夜も彼は心の安定を得べし。
二五一 貪に比すべき火なく、瞋に比すべき執なく、癡に比すべき網なく、愛に比すべき河なし。
二五二 他の過失は見易けれど自の(過失は)見難し、他の過失は※[#「禾+康」、69−5]秕の如く簸※[#「風にょう+昜」、第3水準1−94−7]すれど、自の(過失)は狡猾なる博徒が不利の骰子の目を隱すが如くす。
二五三 人若し他人の過失を※[#「不/見」、第3水準1−91−88]め、常に輕侮すれば彼の心穢増長す、心穢盡を去るこ
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