者と言ふ、爾らざる人は(唯だ)※[#「革+橿のつくり」、第3水準1−93−81]《たづな》を取る(のみ)。
二二三 不忿を以て忿に勝て、善を以て不善に勝て、施を以て慳に勝て、實語を以て妄語者に(勝て)。
二二四 實を語れ、忿る勿れ、乞はるゝときは(己の物)少なしと雖も之を與へよ、此の三事によりて天處に往くを得ん。
二二五 諸の賢人若し常に身を護り、害せざるときは、不死の處に往く、往き已《をは》りて愁へず。
二二六 人恆に覺寤し、晝夜に勤學し、涅槃を信解すれば(彼の)心穢は滅盡す。
二二七 阿覩羅よ、此れ古より言ふ所、今日に始まるに非ず、(謂く)人は默して坐するを毀り、多言を毀り、少言をも亦毀る、世に毀られざる人なし。
二二八 已《すで》に有らず、亦當に有らず、又現に有らず、一向に毀られたる人、或は一向に讚められたる人。
二二九 若し智者が判斷して日々稱讚するなれば、彼は行缺くることなく聰敏にして慧戒具足し、
二三〇 閻浮陀金《えんぶだごん》の莊嚴具の如し、誰か彼を毀り得んや、諸神も彼を讚す、梵天すら彼を讚す。

[#ここから2字下げ]
閻浮陀金―最も上等な黄金。
[#ここで字下げ終わり]

二三一 身の怒を護れ、身を覆護すべし、身惡行を捨てて身にて妙行を行へ。
二三二 語の怒を護れ、語を覆護すべし、語惡行を捨てて語にて妙行を行へ。
二三三 意の怒を護れ、意を覆護すべし、意惡行を捨てて意にて妙行を行へ。
二三四 身を護り又語を護る賢人は、(又)意を護る賢人は實に能く護れるなり。
[#改ページ]

    第十八 塵垢の部

二三五 汝は今や枯れたる葉の如し、閻魔の使者汝の傍に近づく、汝今死別の門に立つ、されど汝に(前途の)資糧あることなし。
二三六 汝己の歸依處を造れ、疾く勤めよ、賢くあれ、垢を去り穢なきものは天の聖處に往くべし。
二三七 汝|今《いま》壯年已に過ぎ、閻魔の傍に立つ、されど(死して閻魔の處に到る)中間に汝の住處なし、亦汝に(前途の)資糧もあることなし。
二三八 汝己の歸依處を造れ、疾く勤めよ、賢くあれ、垢を去り穢なきものは、再び生と老に近づかざるべし。
二三九 賢人は漸々に分々に刹那刹那に、鍛工が銀の(垢を除くが)如く己の垢を除くべし。
二四〇 鐵より生ぜる錆は、鐵より生じて正に鐵を食ふが如く、是の如く不淨の行者は、自の業に由つて惡趣に導かる。
二四一
前へ 次へ
全31ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
荻原 雲来 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング