た事《こと》も、月《つき》さへも氣味《きみ》惡《わる》く見《み》た事《こと》も、以前《いぜん》には思《おも》ひもしなかつた感情《かんじやう》や、思想《しさう》を有《あり》の儘《まゝ》に吐露《とろ》したこと、即《すなは》ち哲學《てつがく》をしてゐる丁斑魚《めだか》の不滿足《ふまんぞく》の事《こと》を云《い》ふた事《こと》なども、今《いま》は彼《かれ》に取《と》つて何《なん》でもなかつた。
彼《かれ》は食《く》はず、飮《の》まず、動《うご》きもせず、横《よこ》になつて默《もく》してゐた。
『あゝもう何《なに》も彼《か》もない、誰《たれ》にも返答《へんたふ》などするものか……もう奈何《どう》でも可《い》い。』と、彼《かれ》は考《かんが》へてゐた。
中食後《ちゆうじきご》ミハイル、アウエリヤヌヰチは茶《ちや》を四|半斤《はんぎん》と、マルメラドを一|斤《きん》持參《も》つて、彼《かれ》の所《ところ》に見舞《みまひ》に來《き》た。續《つゞ》いてダリユシカも來《き》、何《なん》とも云《い》へぬ悲《かな》しそうな顏《かほ》をして、一|時間《じかん》も旦那《だんな》の寐臺《ねだい》の傍《そば》に凝
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