いけい》、代診《だいしん》を鏖殺《みなごろし》にして、自分《じぶん》も續《つゞ》いて自殺《じさつ》して終《しま》はうと思《おも》ふた。が、奈何《どう》したのか聲《こゑ》は咽喉《のど》から出《い》でず、足《あし》も亦《また》意《い》の如《ごと》く動《うご》かぬ、息《いき》さへ塞《つま》つて了《しま》ひさうに覺《おぼ》ゆる甲斐《かひ》なさ。彼《かれ》は苦《くる》しさに胸《むね》の邊《あたり》を掻《か》き毟《むし》り、病院服《びやうゐんふく》も、シヤツも、ぴり/\と引裂《ひきさ》くので有《あ》つたが、施《やが》て其儘《そのまゝ》氣絶《きぜつ》して寐臺《ねだい》の上《うへ》に倒《たふ》れて了《しま》つた。

       (十九)

 翌朝《よくてう》彼《かれ》は激《はげ》しき頭痛《づつう》を覺《おぼ》えて、兩耳《りやうみゝ》は鳴《な》り、全身《ぜんしん》には只《たゞ》ならぬ惱《なやみ》を感《かん》じた。而《さう》して昨日《きのふ》の身《み》に受《う》けた出來事《できごと》を思《おも》ひ出《だ》しても、恥《はづか》しくも何《なん》とも感《かん》ぜぬ。昨日《きのふ》の小膽《せうたん》で有《あ》つ
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