我信念
清澤滿之
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)順從《したが》うて
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私は常々信念とか如來とか云ふことを、口にして居ますが、其私の信念とは如何なるものであるか、私の信ずる如來とは如何なるものであるか、今少しく之を開陳しようと思ひます。
私の信念とは、申す迄もなく、私が如來を信ずる心の有樣を申すのであるが、其に就いて、信ずると云ふことゝ、如來と云ふことゝ、二つの事柄があります。此の二つの事柄は、丸で、別々のことの樣にもありますが、私にありては、さうではなくして、二つの事柄が全く一つのことであります。私の信念とは、どんなことであるか、如來を信ずることである。私の云ふ所の如來とは、どんなものであるか、私の信ずる所の本體である。分けて云へば、能信と所信との別があるとでも申しませうか、即ち、私の能信は信念でありて、私の所信は如來であると申して置きませう。或は之を信ずる機と、信ぜらるゝ法との區別であると申してもよろしい。然し、能所だの、機法だの、と云ふ樣な名目を擔ぎ出すと、却て分ることが分らなくなる恐れがあるから、そんなことは、一切省いて置きます
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