しさ
無くなったインクの瓶に水入れて
使って居るよ少し淡いが
大漁を告げようとゴメはやって来た
人の心もやっと落ち着く
ゴメは鴎[#「ゴメは鴎」は1段階小さな文字]
亦今年不漁だったら大へんだ
余市のアイヌ居られなくなる
今年こそ乗るかそるかの瀬戸際だ
鰊の漁を待ち構えてる
或る時はガッチャキ薬の行商人
今鰊場の漁夫で働く
今年こそ鰊の漁もあれかしと
見渡す沖に白鴎飛ぶ
東京の話で今日も暮れにけり
春浅くして鰊待つ間を
求めたる環境に活きて淋しさも
そのまゝ楽し涙も嬉し
人間の仲間をやめてあの様に
ゴメと一緒に飛んで行きたや
ゴメゴメと声高らかに歌う子も
歌わるるゴメも共に可愛や
カッコウと鳴く真似すればカッコウ鳥
カアカアコウとどまついて鳴く
迷児をカッコウカッコウと呼びながら
メノコの一念鳥になったと
メノコは女子[#「メノコは女子」は1段階小さな文字]
「親おもう心にまさる親心」と
カッコウ聞いて母は云ってた
バッケイやアカンベの花咲きました
シリバの山の雪は解けます
赤いものの魁だ! とばっかりに
アカンベの花真赤に咲い
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