我はたゞアイヌであると自覚して
正しき道を踏めばよいのだ
新聞でアイヌの記事を読む毎に
切に苦しき我が思かな
今時のアイヌは純でなくなった
憧憬のコタンに悔ゆる此の頃
アイヌとして生きて死にたい願もて
アイヌ絵を描く淋しい心
天地に伸びよ 栄えよ 誠もて
アイヌの為めに気を挙げんかな
深々と更け行く夜半は我はしも
ウタリー思いて泣いてありけり
ウタリーは同胞[#「ウタリーは同胞」は1段階小さな文字]
ほろ/\と鳴く虫の音はウタリーを
思いて泣ける我にしあらぬか
ガッチャキの薬を売ったその金で
十一州を視察する俺
ガッチャキは痔[#「ガッチャキは痔」は1段階小さな文字]
昼飯も食わずに夜も尚歩く
売れない薬で旅する辛さ
世の中に薬は多くあるものを
などガッチャキの薬売るらん
ガッチャキの薬をつける術なりと
北斗の指は右に左に
売る俺も買う人も亦ガッチャキの
薬の色の赤き顔かな
売薬の行商人に化けて居る
俺の人相つく/″\と見る
「ガッチャキの薬如何」と人の居ない
峠で大きな声出して見る
ガッチャキの薬屋さんのホヤホヤだ
吠えて呉
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